ABOUT

はじめに

時間の積層によって生み出され続けている自然の中のあらゆる営み。
僕がいつも夢中になるのは目の前に現れた大自然のワンシーンです。

それは広大な景色でもあり、マクロレンズで初めて捉えることのできるミクロの世界まで、長い年月で創り出され、今現在目の前に現れた一 瞬がいつも僕の心を掴んで離しません。
風によって削られた大地や砂壁、雨水によって生み出される独特な模様。
人では再現できない壮大なシステムで動いている時間の流れは、気まぐれに僕たちの前に顔を見せてくれます。

小学生の時から絵画教室に通い、大学では塑造を選択し触れることで実感できる立体の驚きや表面を構成するディテールの面白さを感じまし た。現在写真で表現することもその延長線だと思っています。
写真は絵画と違い常に目の前のリアルを映し出します。それがたとえ抽象的な印象を与えようともレンズの前に広がっている紛れもない現実 を写してくれます。それも写真の面白さの一つだと考えています。どの部分を切り取ってみても全て大地の一部であり、それらが今目の前で形作っているのは計り知れないほどの長い年月と、さまざまな軌跡が重なり出来上がっている途中の一瞬です。
その一瞬にたまたま出会えた感謝と、これから先もずっと続いていくであろう変化に胸を熱くさせる。
ファインダーを覗く時はいつも少しセンチメンタルなものです。

「自然は至上の建築家である。自然の一切は最も美しい釣り合いを持って建てられている。」

僕が感動した自然の一部を、その表情から時間な流れの一端を、大切にしていきたいこの恵みを感じていただけると幸いです。

森貴彩